手仕事で積み上げられた景観的な美しさが魅力の石壁

 石積みについて
  石積みは日本でも古くからお城や土留め、庭園といったところでよく見かけられ、
  石を積み上げて強固な垣や土留めとする技法でその技法には「練り積み」と「空積み」があります。
  「練り積み」とは裏込めや胴込めにモルタルやコンクリートを使いながら石を積む工法で、
  一方、「空積み」はモルタルやコンクリートを使わず、石や砕石を裏込めに使用してます。
  つまり「空積み」とは石のみを使い壁や土留めを作っていく伝統的で技術的な工法です。

 Dry Stone Walling (ドライストーンウォーリング)
  今回ここで紹介する石積みとは、ドライストーンウォーリングと呼ばれる英国式伝統工法のことになります。
  英国式といっても、内部構造や断面図は日本のお城の石垣のそれと良く似ていて、
  主には空積みによって行われ、石や砂利を裏込めに使い積み上げられます。
  積み上げられた石の表面に表れているのは、石の小口や小端という小さい面で、
  広い面や長手部分は石積みの内部に隠れています。
  石どうしのかみ合わせを考え、積み上げた石壁の中央部に荷重を集めることにより石積みの強度を作っていく。
  それがドライストーンウォーリングなのです。

 ドライストーンウォーリングの良さ
  ドライストーンウォーリングの長所のひとつにエコであることが挙げられます。
  空積みで積まれた石壁は地震や衝撃に対して崩れることはあっても、バッタリと倒れることはありません。
  ブロック塀は撤去の際、産業廃棄物として処分しなければなりませんが、
  空積みで積まれた石壁は、作っている間から廃棄に至るまでの過程で産業廃棄物が発生しません。
  また一度作った石積みは、バラして別の場所に積むこともできますし、
  床に敷くなどの再利用が可能なので廃棄する必要がないのです。
  そういった意味では、空積みはエコな技法であり、
  廃棄を要さない石材は資産価値を有するものではないでしょうか。
  なんといっても自然素材である石の表情や、
  手仕事で作り出された景観的な美しさが魅力だと感じて感じております。



 日本人の資格取得者は21名。(2014年10月現在)
  DSWAは、美しい景観や庭園に欠かせない
  伝統的な石積みを保全し、技術を次世代の職人に
  継承するために設立されました。
  石積みセミナーや試験実施の他に活動の一環として、
  ナショナルトラストやブリティッシュヘリテイジに協力し
  英国内の世界遺産の石積みの保全なども行っています。